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のほほん本舗

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カ行

「過去のない男」

tomochifさん大絶賛の「過去のない男」を観た。
この映画は、フィンランドのアキ・カウリスマキ監督作品で昨年カンヌでグランプリを取っている。

ヘルシンキに流れ着いた理由ありげな男(マルック)は、公園でオヤジ狩りに遭ってボコボコにされた時に頭を強打されたショックで自分の名前、生年月日、出身地に至るまで過去の事は全く思い出せないような記憶障害になってしまった。
彼は、その後成り行きで、ホームレスとなったが、救世軍で働く女性(イルマ)や、地域の人の支援で仕事と住居代わりのコンテナを手に入れる。

この地域の人の凄いところは、マルックに対して、同情もないし、過剰なサービスもないし、過去のことをあれこれ詮索しないで本当に最低限の支援だけを行っているところだ。
これって、なかなか出来そうで出来ないように思う。
マルックの事を信頼し、尊敬できているからこそ出来たんじゃないかな。

そして、このマルックのオッチャンが、なかなかの人物なのだ。
成り行きで悲惨とも思える事態になっているにもかかわらず、表情一つ変えず、淡々とこの境遇を受け止め、未来に向かって邁進して生きている。
よく考えてみれば、過去がないからこそ、失うものもないし、なんにでもなれる無限の可能性が開けているのだろうな。
そう!まるで生まれたての子供のように!

「人生は前にしか進まないー。今と未来を見つめ前を向いて歩き続ける。」
これは、この映画のコピーであるが、なかなか素敵な言葉だ。
実は、我々自身もマルックのように淡々と慌てずに生きていけば、ささやかながらも悔いのない幸せな人生を過ごせるのかもしれない。
過去は、後悔、怒り、不満、悲しみ、恨みを生み出すもの。
過去の荷物をおろして、歩いてみると気持ちも楽チンだし、この世の中もリアル感をもっと感じられるにちがいない。平安で幸福と思えるコースは、意外と身近に用意されているのかもしれませんね。
そんなことを、この映画をみてそんなことを感じた。

公式HP:http://www.eurospace.co.jp/kako/

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映画:「キス☆キス☆バン☆バン」を観て 2月19日(木)


スチュワート・サッグ監督作品「キス☆キス☆バン☆バン」という英国映画を観た。
これは面白い映画ですぞ!(^O^)
ジャンルで言えば、ハードボイルド、サスペンス、コメディー、恋愛、ヒューマンを全て含んだ映画なので、どうなるんだろうなぁ~っ。
そうした様々な部分が、いい具合に混ざりっこしているんです♪
笑えて泣けて、心が温かい気持ちにさせられること間違いなしです!!

この映画の登場人物であるババは、過保護な父親の束縛から33年間もの間、家から出ることもなく地下室で宝物のように育てられた。
痛みや苦しみ、寒さ、飢え、痛みなど何も感じる事もない、無菌パックのような環境です。
太陽も、海も、愛も、銃も、女も、お酒も知らないババ。
身体は立派な大人なのですが、中身は子供のまんまなんです。
その箱入り息子のババを、元殺し屋でズッコケのハードボイルド野郎のフェリックスが子守りしながら、外界の世界を教え込んでくというストーリーです。

この映画で語られるメッセージは、
「外の世界は、危険でいっぱいだ。でも素晴らしいぞ!」ということです。
どんなことでもそうだが、未知の世界(体験)とは怖い物です。
なんたって、うまく行く保証なんて何処にもないしね。
それに、新しい事を受け入れるのだって、骨が折れるもの。
変化するくらいならと、自分の慣れ親しんだ人生の羅針盤(自分の生き方、考え方)を使いがちなものです。

ババは、心がピュアな子供のまんまなので、目をキラつかせて、新しい世界を受け入れ、変化する自分を楽しんでいるようであった。
大人になれば、どうしてもピュアな目が濁り、臆病になって前に進む事をきらう。
元殺し屋のフェリックスも、そんな男だった。
虚勢を張って、ハードボイルドを気取るものの、仕事にも恋愛にも前に進む事ができない。

そんなフェリックスも純粋無垢なババと付き合っていくうちに、人生を再生するのは、本当はそれほど大げさなものじゃないのではないかと思うようになった。
それは、ほんのちょっと、勇気を出して踏み出すだけでいい。ほんのちょっとでね。
あまりにも単純すぎて、笑っちゃうくらいなのですが、それしかないんじゃないかな。
「活きる」って、そういうことかもしれません。

公式HP http://www.gaga.ne.jp/kisskiss/


プロモーションビデオ
http://www.happinet-p.co.jp/movie/kissbang.wmv

あっ、そうそう!
この映画の音楽が、カッコいいんです♪
John Dankworth というジャズ畑の人がプロデュースしたらしいのですが、こんどサントラ欲しいな。

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「奇跡の海」

1996年カンヌでグランプリをとった「奇跡の海」を観た。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で有名なデンマークのラース・フォン・トリアー監督の作品。

<ストーリー>
子供のように純粋無垢な主人公ベスは、油田で働くヤンと恋におち結婚。新婚さんということもあって、ラブラブで肉体関係もお盛んだったんだけど、ヤンは仕事にいかにゃならんので、離れ離れになる。ベスは会いたくてしょうがないので、教会に行って「神様!ヤンに早く会わせて頂戴よ~っ。」と祈願する。それは、皮肉な形で実現することとなる。ヤンは、油田の爆発事故で頭を打って半身不随。医師が匙を投げるほどなんだけど、ベスは献身的に看病する。そんなベスを観ていて不憫に思ったのか、ヤンは「愛人をつくって、肉体関係をもってくれ。そしてどんな感じだったのか話しておくれ。その相手が自分だと思うことで元気になる。」なんて無茶な要求をする。ベスは、これは神が自分の愛を確かめているに違いないと確信し、嫌々ながらも相手構わず、肉体関係を繰り返すようになる。厳しい戒律のある教会ですから、ベスは追放され、近所のガキンチョからも足蹴にされ村八分状態。それでも頑張るベス。最後はヤクザみたいな人にボコボコにされ死んでしまう。
彼女の死を引き換えにベスは奇跡的な回復で歩けるようになる。
という物語。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同じく、これでもか、これでもかと悲惨なシーンが続いていく映画で、実に後味が悪い。
正直言って、ベスにもヤンにも感情移入出来なかったな。
この映画、なぜだか女性に人気だったらしいが、この映画ほど女性を馬鹿にした映画はない。
女性だって男を選ぶ権利があるでしょ。女性は自己犠牲しなきゃいかんのか?それが愛だというのは、あまりにも幼い。
ある人は、「ヤンは若いベンの為に言っただけであり、これは思いやりだ。」なんて意見も聞こえそうだけど、笑ってしまう。
ベンはどうみたって幸せになっていないじゃないか!
カッコつけんじゃないよ!と言いたくなる。
監督によると、“善”がテーマだそうな。
自己犠牲という偽善は、偽善にすぎないというのがアチキの考えでんす。

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「きれいなおかあさん」

スン・ジョウ監督コン・リー主演の中国映画「きれいなおかあさん」を観た。http://www.movietv.co.jp/product/kirei.html

時は改革解放政策の歪みの中、聴覚障害児の子供を女手一つで育てていくヒューマンドラマ。
女性の社会進出が促進される反面、母性が崩壊しているという声をよく聞く。(参考文献「母性の崩壊」「母性の復権」林道義著)
アチキは、林道義のように主婦になれとは思わないし、仕事する女性も素敵だと思うが、大切なのはその目的である。
この映画のおかあさんは、朝は新聞配達。昼は家政婦として働くほど、仕事に追われる毎日であるが、それは子供を育て上げることが目的なのだ。
どんなに苦しい状況でも、心や視線は常に子供へと向けられている。
髪の毛を振り乱し、化粧もせず、服も着飾ざらずとも、そういう姿は実に「きれい」なのだ。
世のお母さん方で、育児に疲れた方は是非この映画を観ていただきたい。群馬の子殺しのお母さんは、この映画を観たらどう思うのだろうか?

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「CUBE]

数年前に話題になったカナダ映画「CUBE」を観た。
(・_・Dフムフム なるほど、確かに個性的な映画じゃの。
でも、アチキはこういうペシミスティックな映画はあんまり好きになれなかったな。

<ストーリー>
ある日突然、警官、数学の得意な女学生、脱獄のプロ、設計士、女医、自閉症(サバン症候群と思われる)の男女6人が何の理由を知らされず、突然に正方形の連続した中に送り込まれる。
そこは、多数の部屋が集合した巨大な「キューブ」と呼ばれる立方体の建物。そう、ルービックキューブのお化けみたいな建物ですね。で、そこを抜け出そうとするんだけど、様々な罠が仕掛けられていて、おいそれをは簡単に出口が見つけられない。
そのうち、仲間割れがおきて1人2人と死んでいき、最後に残るのは、自閉症の青年だけで、脱出した先は真っ白という物語。

ん、単純といえば単純な映画です。
この映画は、人間は極限状態に立たされた時にこそ、その人のライフスタイルの本性が表出していくというテーマを扱っている映画だった。あと、これも見た人は皆、気づいていたと思いますが、「キューブ」は現実世界そのものであり、キューブの外は4次元の世界となっている。
キューブは、現実世界のメタファーとして表現したんですね。
現実社会のむなしさ、哀れさを表現したかったのだろう。
ん~これも、わりと単純といえば、単純な発想です。まっ、徹底的に単純で古典的なテーマで映画を作ってみたら、意外と個性的な映画に仕上がったってことなんでしょう。

今日は、法人化の設立準備委員会が行なわれた。アチキは、会議の書記兼お茶汲みとして参加。
会議はいやはや、まさに「キューブ」の映画そのものだった。
「俺、俺、俺。」「私、私、私。」人の話なんて聴いちゃいません。火事の後で、これから協力関係をしなくてはいけない状態の時に、相手を蹴落とす発言ばっかし。なんだか哀しくなりました。
この映画の最後はとても後味が悪い、哀しい結末でした。
我が施設もこの映画のような結末だけは避けたいものです。
なんとか、しなければ(~_~;)

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「紅の豚 」

宮崎駿監督作品「紅の豚」がTVでやっていたので久しぶりに観た。もうかれこれ4回目くらいですが、観る度に味が出てくる作品です。シーンの一つ一つが平和的で自然とみいってしまうような愛くるしさがある。この作品の主人公が紅豚で外見が醜いこともあって感情移入しやすいことも気に入っている(^^ゞボルコ(紅豚)は、見せ掛けや建前、嘘を捨て、自分の信念を貫く男なんよね。戦前生まれの爺様達みたいにカッコイイ!いないんだよね~っ、こういう一本筋の通っている男が!まぁ~アチキもそうなんですけどね。ただ、現代社会では生きづらいでしょうけどね。アチキも呪文をかけて、社会の呪縛から離れようかな~っ。
 あとね、宮崎作品に登場する女の子は魅力的ですね~っ。今日もフィオとジーナに恋しちゃいました(^^ゞ登場する人物は皆、真っ直ぐ素直な心をもっていて、勇気と溢れるほどの愛を感じます。アニメって馬鹿にする人いるけど、一度ご覧になるといいですよ。そこらへんのハリウッド映画よりは中身が濃いです

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「心のままに(Mr.Jones)」

10年ほど前の映画だけど、プレーボーイ俳優で名高いリチャード・ギア主演の「心のままに(Mr.Jones)」を観た。

<ストーリー>
躁鬱病を患っているジョーンズは、躁状態のときにオーケストラが演奏中に突入したり、ピアノを何台も買ったりと社会的逸脱行動を繰り返していた。ある日、建築現場の屋根から空に向かって飛ぼうとした彼は、興奮状態に陥り精神科病院に運ばれる。ジョーンズの診察を担当した女性精神科医リビーは、信頼関係が深まっていくなかで、彼のピュアなハートに心動かされ越えてはいけない禁断の恋をしてしまうという、お話。

ん~リチャード・ギアの躁状態の演技は見事だったな。ほとんど地で演技してたんだろうな。ナンパシーンなんかもね。
躁鬱病という病気の特徴もよく出ていたし、まあまあかな~って、感じの映画でした。特別感動もしなかったしね。

まっ、それはいいとして、治療者とクライエントの関係って確かに共依存関係になりやすいし、危険なんだよね。
アメリカでは、8割のカウンセラーがクライエントに手を出しているというデーターを聞いたことがある。(データーの出所は忘れてしまった。。。)
フロイト派の治療は、どうみても父親と子供。
ロジャース派の治療は、母親と子供。
どちらも、文字通り“親身”になっているのだろうな。
頭も心もホットなのだろう。
でもね~、終身面倒みるんだったらわかるけど、無責任じゃないかとアチキは思うんだよね。危険度は高いと思うよ。
特に、観音様のように受容を強調するロジャース派なんかは、患者が心を開かないのは受容が足りないからと頑張るくらいですからね。いつ、転移ー逆転移関係が生じても不思議ではない。
で、どういう位置が一番安全なのか?
アドラー派では“友人”と言っていたっけな。
ん~“友人”といっても付き合いに幅があるからね~っ。
“遠い親戚の面倒見の良い伯父さん”あたりが、一番いい距離だとアチキは思うのですが、皆さんどう思いますか?



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